土地家屋調査士に境界鑑定を依頼
田中さんは、「境界紛争1」で生じた問題について、土地家屋調査士の調査須留男に境界鑑定を依頼しました。
依頼を受けた調査須留男は、法務局や市役所、区画整理事務所などの関係機関に赴き、必要な調査をします。
そして、入手した境界線に関する資料を精査しました。
同時に、現地の田中さんと山本さんの土地の形状や面積なども測量します。
この現地調査は、広範囲の土地におよぶ場合もあります。
調査結果のご報告
土地家屋調査士・調査須留男は、関係機関への調査や現地の測量で出た鑑定結果を、依頼人の田中さんに報告しました。
田中さんの6番も山本さんの5番も、登記面積は100m²だそうです。
この結果を受けて、田中さんは困ってしまったようですが、調査須留男の説明は続きます。
法務局や関係機関から取得した一般では入手しにくい資料や図面によると、昔の5番と6番
の土地はそれぞれ30番1と30番2と割り当てられていました。
そして、30番2については、土地周囲の寸法が記載された図面があったのです。
再立会いの申し入れ
調査須留男の鑑定結果を踏まえて、田中さんから山本さんに土地境界の再立
会いを申し入れました。
この再立会いでは、両者の間に土地家屋調査士・調査須留男が入ります。
再立会いで調査結果を説明
調査須留男は、両者に境界の専門家として調査や資料に基づいた説明をします。
やはり、事実に基づく説明は強い説得力があるのでしょう。
土地家屋調査士を交えた再立会いでは、側溝の中心線が互いの境界であると、
田中さんも山本さんも納得したようです。
境界杭の設置と書面の取り交わし
納得できる境界が定まれば、その位置に境界杭を設置し、
当事者が境界を確認した事実を書面で残さなければなりません。
この書面を「筆界確認書」と言います。
書面には土地家屋調査士が作成した図面と証明の印が掲載されます。
こうすることで、将来における境界紛争を回避できるのです。
土地は、消費財産ではありません。売却で人の手に渡ることはあっても、
生涯にわたって代々受け継いでいく貴重な財産 です。
だからこそ、境界線における両者の認識を形として残すことが、
境界紛争を回避して財産を守ることにつながるのです。
土地家屋調査士が間に入って立会いをしたとしても、必ず両者の納得に
至るとは限りません。
土地家屋調査士の鑑定結果が認められない場合は、境界杭の設置や書面
の取り交わしができません。鑑定結果は、裁判の判決のような強い効力
がないからです。
公的手段で解決を図る
相手が鑑定結果を認めない場合などは、公的手段で解決を目指します。
ただ、公的手段には種類があり、時間や費用も異なるため、どれがよいかを一概に述べることはできません。
また、どの方法でも代理人を立てず、本人が単独で申請・申し立てをすることは可能です。
土地家屋調査士だけで代理できる制度もあります
「筆界特定制度」で境界紛争の解決を図るのなら、弁護士に依頼する必要はなく、土地家屋調査のみで対応できます。紛争解決交渉のプロである弁護士であっても、理論的に紛争に対する概念が異なるためです。
解決に弁護士を必要とする場合
境界確定訴訟など、弁護士による解決方法を選んだ場合でも、土地家屋調査士の仕事は終わりません。土地家屋調査士は、訴訟に必要となる係争部分の形状や面積を記載した図面や、それを説明する書面を作成して弁護士をサポートします。また、紛争の経緯や現地の状況も詳しく説明します。
もし、弁護士の知り合いがいなければ、土地家屋調査士に弁護士の紹介を受けることが可能です。土地家屋調査士と一緒に弁護士事務所に出向くのもよいでしょう。
こんなときは至急弁護士に依頼を
- 脅迫や恐喝の類を受けていて、民事の範囲を超えている場合
- 早急に工事の差し止めが必要な場合
境界紛争の裏には、近所同士の独特な感情を含んでいることがほとんどです。
傍目から見ると愚かに思えるほど意地の張り合いになっているケースも少なくありません。
しかし、上記のような状態に陥っている場合は、弁護士の力が必要です。
土地所有者であれば、いつ境界紛争に巻き込まれても不思議ではありません。
仮想の事例を用いた解決手段ですが、少しでもお役に立てば幸いです。
それでも、紛争境界が起こった際は、すぐ吉田登記測量事務所までご相談ください。
当事務所が、これまで培ってきた豊富な経験と知識を活用し、双方にとって最適な解決を目指します。